デザインに目がいきがちな結婚指輪選びですが、素材やブランド、品質に価格など、指輪選びの要素はいろいろあります。
その中で、今回はあまり目のいかない「指輪の製造方法」を掘り下げるとともに、「鍛造リング」の魅力を紹介したいと思います。
「鍛造」というワードにピンとくる方や、結婚指輪に耐久性を求める方は、特に必見です!
結婚指輪の製造方法は、大きく分けると「鋳造」(ちゅうぞう)と「鍛造」(たんぞう)の2種類があります。それぞれにメリットもデメリットがあり、それぞれの特徴を生かした美しさのある指輪をヤマトヤでも取り扱っています。
鋳造製法(英語ではCast:キャスト)では、最初にワックス(ろう)でデザインの原型を作り、それをもとに鋳型を作って、そこに高温にして溶かした金やプラチナを流し込みます。
それを冷やすと、ワックスの原型と同じ型の指輪ができ上がります。それにダイヤなどの石を留めたり、磨きをしたりして完成です。溶かしたチョコを型に流して固めるイメージをして頂くと分かりやすいと思います。
▲指輪の原型(ワックス)
鋳造のメリットは、
◆複雑で繊細なデザインの指輪も作ることができる
◆ひとつの原型をもとに量産ができるので、製造コストを抑えられる
◆後からサイズを直すことができる
・・・といった点が挙げられます。一方で、鍛造に比べると、耐久性が若干劣ると言われています。耐久性を確保するために、金やプラチナに硬度の高い金属を配合(割り金)することで、耐久性を上げています。現在、日本では多くの指輪が鋳造製法で作られていることからも、きちんとした製造方法と素材で作られた指輪であれば、末永く使っていけると言えます。
一方、鍛造製法(英語ではForged:フォージド)では、金属を溶かして延べ棒状にしたものを、プレス機で圧延します。何トンもの圧力をかけ、指輪の幅くらいに薄くなった金属をドーナツ状にくり抜いたものが指輪の原型になり、ここからデザインが加えられていきます。この製法では切れ目が無い指輪に仕上がるため、結婚指輪にもおすすめ。サイズに合わせて削り出しをしたり、石を留めたりするのは、高い精度を出すことができる精密な金属加工機器にて行われます。
▲ドイツの「GERSTNER」(ゲスナー)リング工房
鍛造のメリットは・・・
◆何といっても強度が高い!金属の密度が上がり、変形に強い指輪ができあがる
◆密度が上がることで、研磨したときの輝きがより引き立ち、仕上がりが美しくなる
・・・といった点が挙げられます。一方で、鋳造に比べると、デザイン面には制約があります。製法上、カーブのついた指輪は製作が難しいため、シンプルなストレートのリングが基本になります。また、サイズ直しができないものも多いです。そのため、ヤマトヤの扱っている鍛造リングは、新しいサイズの指輪に交換する対応をとっています。
指輪以外にも、高性能(軽さや高い剛性・耐久性など)が求められるものに、鍛造製法を用いた製品が販売されています。例えば車のアルミホイールやゴルフクラブのヘッド、時計のケース(機械が収められる本体部分)などは、鍛造の製品がリリースされています。
大量生産品は鍛造製法が用いられないため、こだわりのアイテムとして販売されているものが多いかと思います。ゴルフや車、時計などが好きな方は、ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか?また、上でも少し触れた通り、日本刀のように叩いて金属を鍛えていく方法も、鍛造の一種です。指輪においても、シャープなラインと輝きがある鍛造リングは、こだわりが感じられて、機能美とも言うべき美しさがあります。
では、ヤマトヤで取り扱いのある鍛造の指輪をご紹介させていただきながら、各ブランドの特徴と成型方法の違いなどにも焦点をあてて迫っていきたいと思います!
※材質について・・・Pt950:プラチナ950 / 750WG:18金ホワイトゴールド / 750RG:18金レッドゴールド / 750PG:18金ピンクゴールド / 750YG:18金イエローゴールド / 750PtG:18金プラチナゴールド(純度75%のゴールドに、残り25%のうち10%に希少なプラチナを配合。素材自体が白く美しいため、コーティング(メッキ)を施していない素材です)
▲ゲスナー
マットともサテン仕上げとも異なる、和紙をイメージした独特の表面加工が特徴。センターにひと筋のきらめきを入れ、全体のイメージを引き締めています。
左: 28067/3.5 221,100円(税込) 右:4/28067/3 198,000円(税込) 材質は共に750WG
GERSTNER(ゲスナー)は、1862年の創業以来、ドイツで愛され続けている老舗のジュエリー工房。
多くの宝飾品工房や工場が集まるドイツ南西部・フォルツハイムの工房にて熟練マイスターの手により生み出される指輪です。
直接指に触れる内側に丹念に丸みをつけていく「内甲丸」仕上げを施しているため、圧迫感の無い滑らかな着け心地を実現しています。
ドイツ本国のAugust Gerstner (ゲスナー)社は、権威あるドイツの調査機関「Markt Intern Verlag GmbH」が選出する「最も信頼できるメーカー」に、ジュエリー&ウォッチ部門において、15年連続で選ばれています。
▲ゲスナー
2色のゴールドを使い、どちらもつや消しのフィニッシュを施して、地金の美しさをアピールしています。リング幅5mmと見た目は鍛造らしいしっかりとした重厚感がありますが、着けてみると、スルっと指になじむ心地よさを実感していただけます。
上:ho4/26806/5 377,300円(税込) 下:ho26806/5 374,000円(税込) 材質は共に750WG・750RG
▲ゲスナー
シンプルな平打ちリングを基本に、磨き上げたラインをアームに一巡させ、緊張感のある表情を作りました。マットな質感にキラリと冴えた輝きがスタイリッシュ。レディースリングにはダイヤをセットしています。
上: 20198/3 249,700円(税込) 下:4/20918/2.5 226,600円(税込) 材質は共に750WG
▲EGF
コンビカラーを採用したマリッジリング。エッジにすれすれの部分へダイヤモンドを留めて、職人の技術力の高さを発揮。デザイン自体はオーソドックスですが、細部に最先端の技を投入した見事な作品です。
上: E40325/45 478,500円(税込) 下:E30708/50 475,200円(税込) 材質は共に750WG ・750RG
上のゲスナーと同じく、ドイツ南西部にある宝飾産業の街・フォルツハイムに工房を構えるジュエラー「EGF(イージーエフ)」。 「鍛造製法」と「内甲丸」仕上げにより、高い耐久性と圧迫感のない滑らかな着け心地を実現しています。
近代的な設備を備え、変形しにくい地金を作り出すために大学や研究者と共同開発を行ったり、理想のデザインを形にするための工具を社内製作したりしてている、先進的な工房です。ドイツのプロダクトデザインの魅力を凝縮した、個性あふれる指輪も多いのが特徴です。
▲EGF
多面体を採用した独創的なフォルムでシャープさをアピールしました。ホワイトゴールドをたっぷり使ったメンズのリングは、モード感が漂います(素材はプラチナへの変更も可能です)。一方、レディースは2mm幅の華奢な作りですが、指にあわせるとキラキラ光を受けて、輝きを放ちます。
上: E10488/40 347,600円(税込) 下: E10488/20 190,300円(税込) 材質は共に750WG
▲EGF
ヨーロッパの文化と歴史に満ちた街々を横断するドナウ川。その流れをイメージしたラインとバイカラーの織りなす、EGFの洗練を堪能できるスタイル。ボリュームがあるにもかかわらず、透かしを入れることで繊細な趣が加わっています。ドイツの指輪職人の技術力とデザイン性の高さをアピールした、どの角度から眺めても美しい仕上がりのマリッジリングです。
左: E30821/50 264,000円(税込) 右: E40821/50 320,100円(税込) 材質は共に750WG・750RG
▲NIWAKA 「ことほぎ」 ~祝福の言葉 心に満ちる~
人生のお守りとなるように、ふたりのもとへ寄せられた祝いの言葉が込められたデザイン。シンプルだからこそクオリティの高さが際立つリング。指にあわせてデザインや幅が選べ、お求め易い価格も魅力。
Pt950:103,400円(税込)~ 750YG/750PG:95,700円(税込)~
※価格はナチュラル(平甲丸)タイプ、2.0mm幅の場合。価格はデザインや幅、材質により異なります
NIWAKA(ニワカ)は、1200年もの悠久の時を刻む京都にて誕生したブランドです。
歴史にはぐくまれた美は、簡素なまでに研ぎ澄まされ、現代の感性を持ってジュエリーとなります。
時を超え、時代を超えて息づく日本の美。俄の指輪にも、そんな美しさが息づいています。
鋳造・鍛造両方のラインナップを揃えており、鍛造製法のリングも和をモチーフとしたデザインで、唯一無二の指輪に仕上げられています。
その高い技術から生み出される指輪は、まさに作品。
ハイジュエラーとしての一面も持ち合わせ、アカデミー賞の授賞式で、多くの女優が俄のジュエリーを身にまとって登場するなど、その美しさは世界からも注目を集めています。
▶詳しくはこちら
※NIWAKAのリングにはここでご紹介している鍛造製品のほか、鋳造の製品もございます。詳しくは店頭でご確認ください。
▲NIWAKA 「花匠の彫」 ~京の匠の一彫りが、四季の息吹を呼び覚ます~
いにしえより日本人が育んだ、花鳥風月の美意識。その美しさへの想いと四季の情景をデザインに込めています。寺社仏閣の装飾品に用いられる飾りを作る彫師が、指輪の幅やサイズを考慮しながらタガネを槌で叩き彫を入れ、伝統的な和彫りを丁寧に仕上げています。
4mm幅/750PG:200,200円(税込)~ 5mm幅/Pt950:244,200円(税込)~
※価格はデザインや幅、材質により異なります
▲NIWAKA 京杢目 「睦」MUTSUMI ~溶け合うふたつの色 仲睦まじく~
異なる二つの素材を交互に重ねて何トンもの圧をかけ、それをくり抜くことで、途切れることのない木目模様が生まれます。ふたつのマテリアルが溶け合うような結婚指輪の模様は、ふたりの人生が睦まじくひとつに重なり合う様子を表現。温かみのある独特の風合いも魅力。
左: 750PG/YG 203,500円(税込)~ 右: 750PG/Pt950 225,500円(税込)~
※価格はデザインや幅、材質により異なります
▲N.Y.NIWAKA LYUZ(リューズ) ~Our time begins, lasting through eternity ふたりの時間を ひとつの未来へ~
腕時計の日付や時間を合わせるための小さなネジ「リューズ」をモチーフにした「LYUZ」。中央部に回転構造を持たせた繊細なギミックの中に、遊び心とストーリーが光るデザイン。分かち合い、時に調整し合いながら、一歩ずつ進むふたりの時間を表現しています。
左:750PtG/750PG 254,100円(税込)~ 右:750PtG 239,800円(税込)~
※価格はデザインや幅、材質により異なります
アート、デザイン、ファッション、カルチャー、現代の才能が世界から集まる街、ニューヨーク。
ニューヨークと京都、ふたつの感性の出会いから生まれたN.Y. NIWAKA(ニューヨークニワカ)のリングには、NIWAKAの美意識とニューヨーカーの求める機能美が秘められています。
研ぎ澄まされたフォルムとなめらかな着け心地。プラチナとゴールドのコンビネーション。それぞれの要素の出会いが、結婚するふたりにふさわしい輝きと上質感を生み出しました。
リング内側の計算し尽くされた曲面によって、滑らかな着け心地を実現。外側のデザインも考慮することで、隣の指にも負担がかからないつくりになっています。
日本人の繊細な指にも合う、美しい鍛造リングです。
▲N.Y.NIWAKA HARMONY(ハーモニー) ~Melodies of love echo in harmony かさねる想い 奏でるハーモニー~
欧米のブライダルリングとして広く愛されるゴールドに、プラチナをコンビネーションとして採用。ふたつのマテリアルを組み合わせることで、N.Y. NIWAKAだけの美しさが誕生しました。クールな印象のブラックダイアモンドを留めることができます。
左:750PG/Pt950 148,500円(税込)~ 右:750PtG/Pt950 177,100円(税込)~
▲N.Y.NIWAKA
婚約指輪と結婚指輪、それぞれが洗練されたフォルムだからこそ生まれる最高の相性。自分らしい組み合わせで生まれる新しい表情は、フォーマルからカジュアルまで幅広いシーンでお楽しみいただけます。
上から順に
「FAITH」ハーフエタニティリング 750YG ¥180,400円(税込)~
「LYUZ」ウエディングリング 750PG 108,900円(税込)~
「TRUTH」エンゲージメントリング 750YG/Pt950 193,600円(税込)~
「HARMONY」ウエディングリング 750PG/Pt950 111,100円(税込)~
▲Something Blue 【Milky way】ミルキーウェイ
夜空を架ける星たちの集まり“天の川”。大きなカーブとともに煌めくダイヤモンドと優しいマット仕上げのリング2本を合わせると、優雅な銀河系を思わせるロマンチックなデザインです。
左(SB-777):Pt950 99,000円(税込) 右(SB-778):Pt950 99,000円(税込) 鍛造(ワッシャー)製法
Something Blue(サムシングブルー)は、鍛造・鋳造両方のラインナップが揃うブランド。
結婚式の日に何か青いものを身につけた花嫁は、幸せになると言われています。
ヨーロッパで古くから伝えられてきたおまじない「サムシングブルー」になぞらえて、
すべてのSomething Blueの指輪には、青く澄んだサファイアを内側にセッティングしています。
デザインに応じて、板状にされた素材をくり抜いて製造する「ワッシャー製法」、
板状の素材を丸めてロウ付けし、切削(せっさく)加工をする「切削製法」など、複数の鍛造加工法を用いて指輪を製作しています。
ロウ付けを行う場合も、全体の硬度を落とすことのない電気ロウ付け技術を採用し、デザインの幅広さと硬度を両立させています。
価格的にもプラチナ素材で8万円台からと、比較的お手頃なのも魅力です。
▲Something Blue 【Sunrise】サンライズ
爽やかな初夏の朝日を浴びて、やわらかな陽射しにきらめく海面をストライプ模様で表現しました。心地良い清涼感を感じるデザインです。
左(SB-792):Pt950 99,000円(税込) 右(SB-793):Pt950 99,000円(税込) 鍛造(切削)製法
▲Something Blue 【Will】ウィル
ふたりの素直な気持ちをかたちに。シンプルで真っ直ぐなデザインは、ふたりの未来に続く一途な気持ち。斜めに入った控えめなアクセントが印象的なモデル。
左(SB-858):Pt950 99,000円(税込) 右(SB-857):Pt950 99,000円(税込) 鍛造(プレス)製法
鍛造製法は実に奥深く、歴史のある製法です。
「お二人の絆のように、固く、強く、何があっても歪まない!」
・・・そんな願いも込めて、強く、硬く、滑らかな鍛造製法の指輪を候補に加えてみてはいかがでしょうか。
ぜひ店頭で試着してみて下さいね。